2006年12月14日(木)19:48

EU首脳会議は拡大への警告で開幕

ブリュッセル(AP)

EU首脳会議は木曜日ブリュッセルで開幕し、欧州連合の過度の拡大に対する警告から議論が始まった。欧州議会のジョゼプ・ボレル議長はEU各国首脳との共同会議において、「拡大が一般の人々に不安を与えているのは明らかだ」と述べた。欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は「拡大に関する新たな合意」を求め、重要なのはEUが今後の拡大でも行動能力を保つことであると述べた。

ルクセンブルクのジャンクロード・ユンケル首相は、新規加盟国受け入れの前に機構改革を行なうことが必須であると主張した。「新しい住人を受け入れる前に家を整えることが必要だ」。ボレル議長も同じ比喩を用いて「私たちは土台を固めずに建て増しばかりしてはならない」と述べた。

ユンケル首相とボレル議長はこの文脈で、欧州憲法の仕切り直しを行なう必要性を指摘した。ユンケル首相はドイツのEU議長国任期中に「交渉をゼロからやり直すなどという誤った選択肢を排除」できるだろうという期待を表明した。「その実質を救い、維持するよう求められている憲法条約が存在するのだ」と首相は述べた。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相もブリュッセルに発つ前、同様の発言を行っている。「もし私たちが次の欧州議会選挙までに憲法条約の実質を救い、真の成果を挙げることができなければ、私は歴史的怠慢と考える」とドイツ連邦議会で演説した。「議長国任期中の私たちの任務は、今後の進め方についてのロードマップを提示することである」。これは2007年6月の任期末までに発表しなければならない、と首相は語った。

メルケル首相はEU拡大に関して、「拡大は民主主義と平和を欧州大陸にもたらした」と讃えた。しかし一方で新たな候補国との加盟交渉にあたっては加盟基準を守る必要があると強調し、これは警告ではなく督励であると述べた。

EUは新たな拡大戦略に関する議論によって、来年1月1日のルーマニアとブルガリアの新規加盟との関連で出された批判に答えた形になる。9月末に欧州委員会が発表した両国の加盟進捗状況報告書でも、なお司法分野をはじめ問題が指摘されている。

EUは南東欧のルーマニアとブルガリアの加盟により、ロシアとの間でも問題を抱えることになった。ロシア政府は両国の加盟後にはEUから食肉を輸入しないと警告している。ロシア政府は両国の衛生基準が不十分であることを理由に挙げている。欧州委員会は両国からの家畜や畜産品のEU輸出には条件をつけると保証しているが、ロシア政府は今のところ納得していない。

ロシア政府はこの問題で今後個々のEU加盟国と二国間協定を結ぶ意向である。ドイツ農務省は木曜日、すでにドイツがロシアと二国間協定を結んだという情報を否定した。EU議長国フィンランドの代表は、EUはこの問題で分断されてはならないと強調し、「私たちは共通の域内市場を持っている。したがって共同で行動する必要があるのだ」と警告した。

原題:EU-Gipfel beginnt mit Warnungen vor einer Ueberdehnung der EU




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